試合前雑感
アーロン・ゴードンが両足ハムストリングの治療のため欠場。
今季しばしば injury report には挙がっていたものの、ここまでディフェンスが良好だったことを考えると「多少の違和感はありつつも出られる状態」くらいだと思っていたが、どうやら楽観できるレベルではないらしい。
このタイプの怪我は時間がかかったり再発しやすかったりと、とにかく扱いが難しい。
本音としては、万全に戻るまでしっかり休ませてほしいが、現実的にはだましだまし付き合っていく形になるのだろう。いずれにせよ、出力が上がる試合で悪化するとPSを乗り切るのは厳しいので、そのあたりの管理が上手くいくことを願うばかり。
代わりのスターターはジーク・ナジ。
「本命はTHJ」と予想していたが、ファン目線でもナジ起用は十分予想できた選択肢だと思う。
今季はローテ外の厳しい立場が続いているが、こういうチャンスを糧に、そろそろ安心して任せられる戦力になってほしい。
試合概要
デンバーナゲッツはホームでニューオーリンズ・ペリカンズと対戦し、125-118で勝利。
これで直近9試合で8勝1敗と好調を維持した。
ニコラ・ヨキッチは28得点・12アシスト・11リバウンドでトリプルダブル。
ペイトン・ワトソンはキャリアハイとなる32得点を記録し、この試合の攻守のキーマンとなった。
ジャマール・マレーは14得点とスタッツ上は控えめだったが、終盤に重要なフリースローを沈めて勝利に貢献。
一方のペリカンズは、ザイオン・ウィリアムソンが左ハムストリングの怪我から復帰し14得点（29分出場）。
ルーキーのデリック・クイーンはヨキッチとのマッチアップの中で30得点9リバウンドと大暴れし、トレイ・マーフィー三世も23得点と奮闘したが、チームとしては7連敗＆ボレゴ暫定HC体制で0勝3敗と苦しい状況が続く。
試合は序盤こそペリカンズが最大19点リードと一方的な展開になるかと思われたが、ナゲッツが徐々に差を詰め、ワトソンの3Pで前半残り3分2秒に51-49と逆転。
後半はワトソンの連続得点とヨキッチのギアアップで主導権を握り、ペリカンズの追い上げをヨナス・バランチュナスのクラッチジャンパーで振り切る形となった。
全体の所感
いかにもナゲッツらしい、全体としてはやや緩い雰囲気の試合だった。
ポジティブな点としては、まずキャメロン・ジョンソンが明らかにフィットしてきたこと。
ディフェンスのローテーション、カッティング、スペーシングのすべてで「ナゲッツの一員」という感じになってきており、これはかなり大きい。
ペイトン・ワトソンとジーク・ナジの同時起用は、二人ともブロックに飛びまくるので見ていてほぼバレーボール。
良い意味でも悪い意味でもワトソンの特徴が詰まった試合で、ワトソンファンにはたまらない内容だったのではないだろうか。
クォーターごとの試合展開と感想
1Q
マレーのスイッチがまったく入っていなかった最序盤。
ヨキッチからのパスを受けてミスしたり、雑なターンオーバーが続いたりと「おいおい…」という立ち上がり。
チーム全体としてもTOがかなり多く、ザイオン復帰で勢いのあるペリカンズ相手にあっさり二桁ビハインド。
それでも1Q終盤には落ち着きを取り戻し、4点ビハインドまで戻して終了。
「さすがに最終的には勝つだろう」と思いつつも、
それでもどこかで信頼しきれないのが、ある意味いつものナゲッツ。
2Q
セカンドユニットの時間帯であっさり追いつき、そのままつかず離れずの展開をキープ。
ペリカンズが相手ならこうなっても不思議ではないが、ここまでのナゲッツの層の厚さを考えると「実力通り」といった印象。
とはいえ、昨季ならこの時間帯で一気に離されていてもおかしくなかった。
ヨキッチを5分以上ベンチに座らせたまま耐えられるのはやはり大きい。
THJはシュートこそ入っていなかったが、やるべき仕事はきっちりこなしていて「元通りのTHJ」に戻った感触。
また、今日もヨキッチとバランチュナスの同時起用があった（ような気がする）。
オフェンスのハイローは間違いなく魅力的だが、ディフェンス面はやはり厳しめか。
それでも最終的にはあっさりとリードを奪って前半終了。
内容としては「特別良くも悪くもないが、地力の差で押し切った」という印象。
3Q
「劇的に良くなった」というほどではないが、
気付けばしっかり突き放していたナゲッツ。
ワトソンが立ち上がりからギアを上げて得点を重ね、
ヨキッチも気づけばいつもの3Q時点トリプルダブル。
ナゲッツが特別良かったというよりは、
両チームとも中庸な出来の中で、単純に実力差が出た感じ。
ペリカンズ側も、ザイオン復帰戦でプレイタイム管理されていた事情を考えると、仕方がないかという印象。
4Q
ヨキッチの早退を期待していたが、
少し詰められてしまい、結局再投入となったが想定内。
序盤でやられたスターターユニットの出来を考えると、そのあたりは仕方ない。
ヨキッチ投入後はきっちり突き放して勝負あり。
終盤のバタバタは……まあ、見なかったことにしておきたい。
選手ごとの所感
ニコラ・ヨキッチ
チーム全体が緩めの日だと、ヨキッチの雑なパスや、ディフェンスが目立ってしまう。
今日は9ターンオーバーに加えてファウルアウトだしね。
とはいえ、最終的なインパクトとしてはいつも通りで、
相変わらず3Qの時点でほぼトリプルダブルを達成し、試合を支配していたのも事実。
悪いところを挙げつつも、「やっぱりMVPだわ」と言いたくなる試合だった。
ジャマール・マレー
しばしば見られるスイッチ切れ状態は何とかならないものか。
チーム全体の緩さと連動している面もあるが、
マレー自身のムラがそのままチームのムラに繋がっている印象もある。
プレー内容としては、
ヨキッチのスクリーンを使ってペイントに切り込み、最後にパスを捌く鉄板パターンがかなり読まれているように見えた。
ミネソタ戦ではフィニッシュまで行き切る回数が増え、それが逆に効いていたので、
今後はもう少し余裕をもってほしいところ。
今日はシュート不調の日（こういう日、多くないか？）ではあったが、それでもうまさはさすが。
アーロン・ゴードン
ハムストリングの治療で欠場。
ずっと付き合っているタイプの怪我なので、PSで悪化しないような長期的なコンディション管理を強く期待したい。
キャメロン・ジョンソン
ようやくチームにしっかりフィットしてきた印象。
一試合「これだ」という内容が出ると本当に見え方が変わる。
ずっとMPJと比較してしまって申し訳ないが、
動きの良さやフィット感は明らかにMPJよりも高く見える。
理不尽なジャンパーやリバウンド、爆発力など、MPJにしかない魅力もあるが、
チームとしてのフィットという意味では、やはりキャムジョンは期待通り。
ヨキッチとのカッティングのタイミングも合ってきたし、
シュートも入り始め、ドリブルも最低限はこなせてパスもうまい。
改めて「良いトレードだった」と感じる一戦だった。
ペイトン・ワトソン
ブロックやマンディフェンスは文句なし。
トータルの守備指標でも大きなプラスなのは間違いない一方で、
チームディフェンスとしてはまだ発展途上なのがよくわかる試合でもあった。
ザイオンはさすがに不得意なタイプかもしれない。
オフェンスも体感的には「相変わらず怪しい」と思って見ていたのだが、
スタッツシートを見ると高効率で30点超え。
ジーク・ナジ
アーロン・ゴードン欠場に伴い、久々のスターター起用。
「もっとやれるだろうし、サラリー的にももっとやってくれ」という思いは正直あるが、
最低限プレイタイムを埋め、致命的なマイナスにはならなかったという意味では及第点か。期待値が下がりすぎている気もするが。
ティム・ハーダウェイ Jr.（THJ）
シュートこそ入らなかったが、無難に良い仕事。
ブルース・ブラウン
いつも通り、期待通り。
溜めてからのエアボール未遂も含めてブルブラらしい。
それでも総合的な貢献度はやはり高い。
ヨナス・バランチュナス
2Qであれだけヨキッチを長くベンチに座らせられる喜びを、
「当たり前のこと」と思わないようにしたい存在。
スタッツ以上に、ヨキッチの負担を軽減しているという点で本当に大きい。
スペンサー・ジョーンズ
前の試合ではミスもあってプレイタイムが短かったこともあり、
今日はかなり気合が入っていた印象。
クリスチャン・ブラウンと同い年とはいえ、良い意味でさらに若さを感じるプレーぶりで、
CB離脱中の「プチ救世主」となることを期待されている立場でもある。
本契約までいけるかどうかは正直微妙なラインかもしれないが、
今のチャンスを活かして「生き残るための成長」を見せてほしいところ。
ジェイレン・ピケット／ハンター・タイソン
出番なし。
クリスチャン・ブラウン／ジュリアン・ストローサー
怪我のため欠場。
とにかく焦らず、しっかり治して戻ってきてほしい。
次戦に向けて
次戦は中1日でアウェイのヒューストン・ロケッツ戦。
西のナンバー2争いをするチーム同士の大注目カードとなる。
さらにこの試合はエミレーツNBAカップの第3戦。
まさかのナゲッツがここまでグループ首位という状況で、「カップ戦」という意味でもぜひ勝ち切りたい一戦。
もちろん最優先は選手たちの健康状態だが、
ロケッツとの直接対決でどこまで現在地を示せるか、非常に楽しみなゲームになりそうだ。
参考（更新日参照）
NBA.com
https://www.nba.com/
ESPN Denver Nuggets
https://www.espn.com/nba/team/_/name/den/denver-nuggets
NBA League Pass Prime Video
https://www.amazon.co.jp/gp/video/channel/56eb6728-5015-dd6e-850e-82b37e5d30c3
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