※この記事は用語の全体地図。各項目の詳しい仕組み・金額・条件は別記事で解説します。
1. まず前提:NBAのキャップは「ソフトキャップ」
NBAのサラリーキャップは、チーム総年俸に“目安の上限”を置きつつ、例外規定で上限超えを認めるソフトキャップ。一方で、タックスやエプロンによって“実質的な制限”が段階的に強くなる。
2. 主要なライン(境界線)
サラリーキャップ(Cap)
年俸総額の基準となるライン。ここを境に「キャップスペースがある/ない」が変わる。
サラリーフロア(Floor)
最低支出ライン。一定割合まで選手給与を使うことが求められる(不足すると調整が入る)。
ラグジュアリータックスライン(Tax)
ここを超えるとぜいたく税が発生。超過額に応じて段階的に課税される。
ファーストエプロン(First Apron)
タックス上部の境界線。超えると、例外の利用や補強手段が制限されやすい。
セカンドエプロン(Second Apron)
近年の最重要ライン。超えると補強・トレード・ドラフト運用の制約が大幅に増える(実務上の“強い縛り”)。
3. キャップを超えて契約するための「例外(Exceptions)」
バード権(Bird / Early Bird / Non-Bird)
自チームの選手を、キャップ超過でも再契約しやすくする仕組み。保持年数や条件で3段階に分かれる。
ミッドレベル例外(MLE:Non-Taxpayer / Taxpayer / Room)
キャップ状況に応じて使える“中規模の補強枠”。エプロンとの兼ね合いで使える種類が変わる。
バイアニュアル例外(BAE)
一定額の契約に使える小型例外。使用条件があり、乱用できない。
最低年俸例外(Minimum)
キャップ超過でもミニマム契約で選手を獲得できる枠。
ルーキー例外(Rookie Scale:主に1巡目)
ドラフト指名選手(特に1巡目)を、キャップ状況に関係なく契約できる仕組み。
セカンドラウンド例外(Second-Round Pick Exception)
2巡目指名選手を契約しやすくする新しい枠(近年導入)。
ツーウェイ契約(Two-Way)
NBAとGリーグを行き来できる契約。枠数・扱いが通常契約と異なる。
Exhibit 10
主にキャンプ招集やGリーグ運用と結びつく契約条項。育成・補強の実務で登場する。
トレード例外(Traded Player Exception / TPE)
トレードで年俸差が生じたとき、その差額分を後日吸収できる“枠”が生まれることがある。
故障者例外(Disabled Player Exception / DPE)
長期離脱選手が出た場合に、代替選手を獲得するための例外(認定条件あり)。
再契約関連(Reinstatement など)
特殊事情(復帰等)に対応するための例外的な再契約ルール。
4. タックスとペナルティ(Tax & Penalties)
ラグジュアリータックス(Luxury Tax)
タックスライン超過に対する課税。段階制で、連続支払い(リピーター)はより重い。
リピータータックス(Repeater Tax)
一定期間に複数回税を払うと税率が跳ね上がる制度。長期的な“高額維持”を抑制する狙い。
タックス配分(分配)
徴収された税金は一定のルールで分配され、非課税チーム側にメリットが生まれる構造になっている。
5. 契約の上限・特別枠(Individual Salary Rules)
最大契約(Max Salary)
経験年数などにより「キャップの◯%」が上限になる。
指定選手(Designated Player)/ローズルール(5年30%)
若手スター向けの上乗せ条件。一定の受賞・選出実績で上限が引き上がる。
指定ベテラン延長(DVPE)/いわゆるスーパーマックス
自前のスターを引き留めるための大型延長枠。条件を満たすとさらに高額・長期が可能。
オーバー38ルール(Over-38 Rule)
高齢選手への長期契約を“後払い”で抜け道化するのを防ぐためのキャップ計上ルール。
オプション(Player Option / Team Option)
契約最終年などを、選手またはチームが延長判断できる条項。
6. FA・キャップスペース運用の用語
フリーエージェント(UFA / RFA)
UFAは自由契約、RFAは元チームにマッチ権がある。
クオリファイングオファー(Qualifying Offer)
RFA化するための提示。受けると短期契約、拒否してオファーシートへ、など分岐点になる。
モラトリアム(Moratorium)
FA解禁直後の“合意はできても正式契約が進みにくい期間”。報道が先行しやすい。
キャップホールド(Cap Hold)
FAが未契約の間、旧所属チームのキャップ計算に残る“仮の計上額”。キャップスペースの見え方を変える。
サイン&トレード(Sign-and-Trade)
FAを一度サインしてからトレードする手段。エプロン等の条件で制約を受けやすい。
7. トレード周り(Salary Matching & Restrictions)
サラリーマッチング
キャップ超過チームは、基本的に「出す年俸」と「取る年俸」に制限がある。
現金添付(Cash in Trades)
トレードに金銭を付ける手段。エプロン超過では制限が強まる。
ドラフト指名権の扱い(Stepien Rule 等)
将来指名権の取引可能年数・制約など。エプロン超過チームは運用が厳しくなることがある。
ベースイヤー補償(BYC)
再契約直後の選手をトレードに使う際、年俸計算が特殊になるルール。
8. ロスター管理(枠・放出・救済措置)
ウェイバー(Waivers)
解雇された選手を他チームがクレームできる仕組み。成立すると契約を引き継ぐ。
セットオフ(Set-Off)
解雇後に別チームで契約した場合、元チームの支払い義務が一部相殺される考え方。
ストレッチ条項(Stretch Provision)
残り保証額を複数年に引き延ばしてキャップ負担を分散する手段。
アムネスティ(Amnesty Clause ※過去制度)
特定期間に1人だけキャップ/税計上から外せた救済措置(現在は基本的に過去の話)。
まとめ:この記事の使い方
- 今は“用語の地図”を押さえる回
- 以降、個別記事で
- 「エプロン超過で何ができなくなる?」
- 「MLEの種類と使い分け」
- 「バード権の条件と上限」
- 「トレードのサラリーマッチ」
などを順番に掘る、が最短ルート。




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