【NBA】PER(Player Efficiency Rating)とは?ヨキッチの異次元指標から読み解く“効率の真実”

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PER(Player Efficiency Rating)とは?ヨキッチの異次元指標から読み解く“効率の真実”【NBAアドバンストスタッツ解説】

はじめに

ここ数年、ニコラ・ヨキッチの主要指標は“常識外れ”という言葉すら生ぬるいほどの数値を叩き出し続けている。 ネット上では「ヨキGOAT(史上最高)」という言葉が冗談半分で飛び交うが、実際にGOATがヨキッチだとまでは思わないにせよ、キャリア全盛期の数年間を切り取った瞬間的なオフェンシブ能力という点では、歴代でも屈指――むしろ“最高”と評しても差し支えないだろう。

こうした議論のひとつの拠り所になるのが、比較的古典的で直感にも反しない指標、PER(Player Efficiency Rating)である。 完全ではないにせよ、ボックススコアベースの総合的な効率評価として、今でも一定の有効性を持つ。本稿では、このPERの考え方・計算の仕組み・長所と限界を整理し、現代のバスケットボールを理解するうえでの“ひとつの物差し”として紹介する。

PERとは?

PER(Player Efficiency Rating)は、ESPNのアナリストジョン・ホリンジャー(John Hollinger)が開発した 「選手の総合的な生産性を1分あたりで数値化した指標」です。 リーグ全体の平均値を常に15.00に正規化することで、時代やチームのペースに左右されずに選手の効率を比較できます。

  • プラス要素:FG、3P、FT、AST、REB、STL、BLKなど
  • マイナス要素:ミスショット、TO、PFなど
  • 最終的に「1分あたり・ペース補正済み」のスコアとして算出

この設計により、交代要員のような短時間プレイヤーとスターターを同じ基準で比較することが可能になります。

PERの計算式

PERの計算はまず未調整値(uPER)を求め、その後チームペースとリーグ平均を考慮して正規化します。

1. uPER(未調整値)の骨子

uPER = (1 / MIN) × { 3P + (2/3)×AST
      + [ (2 − factor × tmAST/tmFG) × FG ]
      + [ 0.5×FT × (2 − (1/3)×tmAST/tmFG) ]
      − [ VOP×TO ]
      − [ VOP×DRBP×(FGA−FG) ]
      − [ VOP×0.44×(0.44 + 0.56×DRBP)×(FTA−FT) ]
      + [ VOP×(1−DRBP)×(TRB−ORB) ]
      + [ VOP×DRBP×ORB ]
      + [ VOP×STL ]
      + [ VOP×DRBP×BLK ]
      − [ PF×( lgFT/lgPF − 0.44×lgFTA/lgPF×VOP ) ] }
  

変数:tm=チーム値、lg=リーグ値、VOP=Value of Possession、DRBP=Defensive Rebound Percentage。

2. ペース補正・リーグ正規化

PER = ( uPER × lgPace / tmPace ) × ( 15 / lguPER )
  

これにより、速いテンポで多くのポゼッションを得るチームの選手が不当に高く評価されるのを防ぎ、 全選手のPERが平均15となるよう調整されます。

PERの目安(スケール)

PER評価レベル
35+歴代級のシーズン
30〜35MVP独走レベル(例:ヨキッチ 32.85, 2021-22)
27.5〜30強力なMVP候補
25〜27.5弱いMVP候補・オールNBA級
22.5〜25確実なオールスター
20〜22.5ボーダーオールスター
15リーグ平均
10〜13ローテーション外/控え

PERの長所

  • 全スタッツを統合した直感的な「総合効率」指標
  • ペース調整済みなのでチームスタイルに左右されにくい
  • リーグ平均15基準でシーズン・世代を跨いだ比較が可能

PERの限界・批判

1. 守備を十分に反映できない

PERは主にボックススコアベースの攻撃指標であり、守備面(ポジショニング、ヘルプディフェンスなど)を正確に評価することは難しい。 スティールやブロックのような記録可能な要素に偏りがある。

2. “ショット多投”問題とホリンジャーの反論

一部の研究者(Dave Berri)は、PERが「シュートを多く打つ選手を過大評価する」と指摘しました。 これに対しHollingerは、「PERは最終的にリーグ平均で再標準化されるため、単純に多投すれば上がるものではない」と反論しています。

3. 役割やチーム構成の影響

ボール保持時間が長い選手やプレイメイカー型の選手が高く出やすく、 逆にオフボール主体・ディフェンス専門の選手は過小評価されやすい傾向があります。

PERの活用法

  • 攻撃効率の比較:時代やポジションを超えた「1分あたり生産性」の比較に。
  • キャリア推移の把握:年齢やチーム移籍によるパフォーマンス変化の分析。
  • 他指標との組み合わせ:TS%、BPM、WS/48などと併用し総合評価に。

まとめ

PERは古典的ながらもいまだ有用なアドバンストスタッツの一つです。 ニコラ・ヨキッチのような異次元のオフェンシブプレイヤーの価値を理解する上でも、 まずはPERという“直感と理論をつなぐ指標”から入るのは有効なアプローチと言えるでしょう。


参考

  1. https://www.basketball-reference.com/about/per.html
  2. https://www.basketball-reference.com/leaders/per_season.html
  3. https://www.espn.com/nba/columns/story?columnist=hollinger_john&id=2850240

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